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相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合において、その不動産の所有者名義を相続人に変更するための登記手続きです。
相続登記は、多くの書類をそろえなければならず、また個々の案件によっては高度な法律知識が要求されるなど、不動産登記のなかでも特に専門性の高い分野です。

相続登記の特徴

必要書類が多い。

戸籍謄本・除籍謄本

相続登記では、「相続人は誰か」「相続人は何人いるのか」を証明するために、被相続人(亡くなられた方)が死亡したときの戸籍(除籍)謄本から出生したときの除籍謄本まで、すべての戸籍謄本・除籍謄本をそろえなければなりません。
特に被相続人の本籍地が何度か移転している場合は、複数の役所に戸籍(除籍)謄本の取得申請をしなければならず、すべてをそろえるまでに時間がかかります。

当事務所では、ご希望があれば、これらの戸籍(除籍)謄本を、司法書士の職務上請求により、お客様に代わって取得します。

遺産分割協議書

相続が開始したときは、相続人全員のあいだで相続人のうち誰がどの相続財産(不動産)を取得するかを協議し、その協議書を作成しなければなりません。

当事務所では、相続人の方々の意向を聴取し、不動産はもちろんそれ以外の相続財産(預金や証券など)も含めた遺産分割協議書を作成します。

特殊な案件では高度な法律知識が要求される。

相続登記案件では、「遺産分割協議が成立しない」「未成年の相続人がいる」「相続人のなかに行方不明のものがいる」「被相続人が外国籍である」など特殊な事情が存在することがあります。
そのような案件では、取得・作成すべき書類が通常の相続登記より更に多く、また事案によっては家庭裁判所の審判を受けなければならないこともあります。

当事務所ではこれまで多種多様な案件を処理してきた実績があります。
特に「在日韓国人の相続登記」は開業以来専門的におこなってきた分野であり、全国屈指の処理件数を誇ります(韓国相続登記の詳細は後記「韓国相続」をご覧下さい)。

税金が課税されることがある。

相続財産の内容(価格)によっては、「相続税」が課税されることがあります。

当事務所は税理士業務もおこなっています。相続税の課税が問題となる案件では、税務上の観点からもアドバイスします。

韓国相続

韓国戸籍等代行取得・翻訳

被相続人(亡くなられた方)が在日韓国人の場合、相続登記で必要になる相続証明書(相続人が誰かなどを証明する書類)は、韓国領事館が発行する韓国除籍謄本・家族関係証明書・基本証明書等になります。
当事務所では、一般の方や他の専門家(弁護士・司法書士・税理士等)の方からご依頼があれば、韓国領事館の発行する相続証明書の代行取得や翻訳作業をおこないます。

1 代行取得する際に用意していただく書類等

委任状
※当事務所が作成します。相続人の方に押印していただきます。
委任者(相続人)の身分証の写し
※特別永住者証明書(外国人登録証明書)等
相続人・被相続人の本籍・戸主の分かる資料
※過去に取得した韓国戸籍等

2 韓国領事館の住所・電話番号(参考)

〒106−0047
東京都港区南麻布1−7−32(民団韓国中央会館2・3階)
電話番号03−3455−2601

日本と韓国の相続の違い

相続人の範囲が違う

※被相続人の国籍が「韓国」の場合、韓国民法が適用されます。(法の適用に関する通則法 36条)

被相続人よりも前に子が死亡した場合

相続人となるのは、

日本→B、C、F
 (日本民法 887条)

韓国→B、C、F、E
 (韓国民法 1000条、1001条、1003条)

※韓国では、Dの配偶者Eも相続人となる。

配偶者と兄弟姉妹がいるが、子と親がいない場合

相続人となるのは、

日本→B、C
 (日本民法 889条、890条)

韓国→B
 (韓国民法 1003条1項)

※韓国では、配偶者Bのみが相続人となり、弟Cは相続人とならない。

子の全員が相続の放棄をした場合

相続人となるのは、

日本→B、G、H
 (日本民法 889条、890条)

韓国→B、E、F
 (韓国民法 1000条1項1号)

※韓国では、孫E、Fが相続人となる。

上記の図で、孫EFも放棄した場合(韓国の場合)

相続人となるのは、

韓国→B
 (韓国民法 1043条)

※韓国では、配偶者のみが相続人となり、親は相続人とならない。

「相続放棄」

被相続人が亡くなったのを知ったときから3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをすると、被相続人の財産だけでなく債務も相続されなくなります。
(日本民法 915条、韓国民法 1019条)

ただし、上記のように、日本民法によると相続人とならなくても韓国民法によると相続人となってしまう場合、そのことに気付かずに3か月過ぎてしまうと、相続放棄の手続きが出来ず、債務を相続してしまう可能性がありますので注意が必要です。

日本と韓国の相続分の違い

配偶者と子3人が相続人の場合

日本→配偶者1/2、子1/2
 (日本民法 900条)

韓国→子の相続分は均分、配偶者の相続分は子一人分の相続分の5割を加算する

※この場合、日本の民法の方が、配偶者の相続分は多くなる。(韓国民法 1009条)

日本の場合

相続人相続分割合遺産相続額(合計9,000万円)
1/2=3/64,500万円
1/2×1/3=1/61,500万円
1/2×1/3=1/61,500万円
1/2×1/3=1/61,500万円

韓国の場合

相続人比率相続分割合遺産相続額(合計9,000万円)
(1+0.5)×2=33/93,000万円
1×2=22/92,000万円
1×2=22/92,000万円
1×2=22/92,000万円

配偶者と子2人及び前妻の子1人が相続人の場合

日本も韓国の場合も、上記『配偶者と子3人が相続人の場合』と結論は同じ。
※日本も韓国も、前妻は相続人にならない。

配偶者と子2人及び非嫡出子1人が相続人の場合

日本→配偶者1/2、子1/2
 (※但し、非嫡出子は嫡出子の1/2)
 (日本民法 900条)

韓国→子全員が嫡出子の場合と同じ。
 (上記『配偶者と子3人が相続人の場合』)
 (非嫡出子と嫡出子の相続分は同じ)

日本の場合

相続人相続分割合遺産相続額(合計9,000万円)
1/2=3/64,500万円
1/2×1/5=1/10900万円
1/2×2/5=2/101,800万円
1/2×2/5=2/101,800万円

韓国の場合

相続人比率相続分割合遺産相続額(合計9,000万円)
(1+0.5)×2=33/93,000万円
1×2=22/92,000万円
1×2=22/92,000万円
1×2=22/92,000万円

しかし、「遺言」で韓国法の適用を排除して日本法を適用させることが出来る。

大韓民国 国際私法

第四十九条(相続)

  1. 相続は、死亡当時被相続人の本国法による。
  2. 被相続人が遺言に適用される方式により、明示的に次の各号の法律のいずれかを指定するときは、相続は、第1項の規定にかかわらず、その法による。
    • 指定当時の被相続人の常居所がある国家の法。ただし、その指定は、被相続人が死亡時までその国家に常居所を維持した場合に限り、その効力がある。
    • 不動産に関する相続に対しては、その不動産の所在地法

尚、被相続人の国籍が「朝鮮」の場合、日本の相続法を適用する。

朝鮮民主主義人民共和国 対外民事関係法

第四十五条

 不動産相続に対しては相続財産がある国の法律を、動産相続に対しては被相続人の本国法を適用する。
ただし、外国に住所を有しているわが国の公民の動産相続に対しては被相続人が住所を有している国の法律を適用する。